(仮)の世界。
絵を描いてたり日常の愚痴を綴ったり諸々。
「――そういえば、名前を教えてなかった気がするよ、こんなに話し込んだのにね。」
お互いテーブルを挟んで座り込みながら向かい合い、警備員さんも俺も大体食べ終わって、談笑をしている中で突然漏らした言葉。甘い香りと出前のラーメンの香り(警備員さんの飯)と、辛い匂い(カラムーチョ、実はさっき傍のコンビニまで警備員さんと抜け出して買いに行きました、裏口誰も見張ってないこの学校の警備が心配です。)で満たされた空気の中でのふとした言葉。
…そういや名前教えてないなぁ。
こんなに意気投合して、
ハゲ数学教師の秘密。(ズラが一週間でどんなものを被るか決めてます。だから皆にバレバレです。)
体育教師の秘密。(スポーツ雑誌の棚にエロ(SM)本を挟んでます、体育系部員がこっそり見に来てます。)
購買のおばちゃんの秘密。(昔SM嬢。)
…とかイロイロ話してんのに。
―――秘密だと云うのにその内の二つはバレバレなのは何故なんだい。
って警備員さんに言われたので、
確かにそうだよな――…。とか思ってたらさっきの言葉が出たんだよな。
警備員さんはゆっくりと帽子を取り、少し頭を垂れた。
帽子の下にはふさふさした髪の毛が確かに生えている。(ハゲ教師を思い出したからこう思ってしまった。)
「…僕の名前は藍沢 真一郎(あいざわ しんいちろう)だよ、…まぁ、しがない派遣警備員です。」
帽子を取ると陰指した顔色が消え、…結構若々しいので少し驚いた。
少し茶髪交じりの黒髪に、――あ、目が少し青い!
「クォーターなんだよ、僕。」
「すっげ!外人と!?パツキンと!?そしてクォーターって何。」
「えっと、パツキンかは忘れたけど…、クォーターってのは、祖母か祖父が外国の人間を持つ三世代目のことかなぁ…、あはは。」
「へぇー…。」
じろじろじろ、
無遠慮に目玉を覗き込みながら相槌を打つ。
困った様に真一郎さんは身を引きながらもあははと微笑み続け。
きちんとPCに絵を取り込めるスキャンが欲しいです。